STEP2.どうやって「きび酢」は造られているの?
「きび酢」は、鹿児島県の奄美大島の南端に位置する、加計呂麻(かけろま)島で造られています。加計呂麻島は、人口一万人足らずの島で、さとうきび畑の広がる島です。奄美の長寿島として知られています。
加計呂麻島では、長い間、自給自足の生活が続いた為、塩や黒砂糖、酒や味噌も自家製でした。そして、酢もまた造られたのでした。醸造酢を造るためにはまず、お酒を造らなければなりません。酢を造るには、お酒よりもさらに発酵することが必要となりますので、容易ではありません。
ところが、この加計呂麻島ではさとうきびの甘い汁を放っておくことで酢ができてしまうのです。さとうきびの甘い汁から自然に酒ができ、さらに寝かせればほんのり甘い、香りのいい酢になるのです。そう、これが「きび酢」です。
奄美大島周辺には、酢を造るために必要な微生物である酢酸菌が、もともと空気中に浮遊していて、しかも、酢の熟成に適した、奄美大島の湿度と温度条件などが重なって、「きび酢」ができるのです。
では、実際にどのように「きび酢」が造られているのでしょうか?
工程順に見ていきましょう。
1.奄美大島加計呂島のさとうきび畑
「珊瑚礁(さんごしょう)の島」、加計呂麻島の良質な大地で育ったさとうきびです。
2.収穫された、さとうきび
丹精込めて育てられたさとうきびは、1月〜4月ごろに刈り取り時期を迎えます。
3.さとうきびを圧搾(あっさく)
収穫したばかりのさとうきびを搾る(しぼる)ところからきび酢造りは始まります。
4.糖水を加熱
糖水を一番釜で炊き、二番釜で発酵に適した糖度に仕上げます。皮ごと搾ったきび汁を、アクを取りながら15〜20分ほど煮て取り出し、水だけを加えて仕込みます。ここで、さらに煮詰めると黒砂糖になります。
5.発酵
蔵の中で、加計呂麻島の風土を生かし、自然発酵させ、1年間熟成させます。白っぽい薄い膜(まく)が張ると、酢になりかけている証です。この膜が厚いものは、「スンクァ」(酢の子ども)と呼ばれ、親しまれています。
6.じっくりと熟成
発酵が止まると、貯蔵庫でじっくりと寝かせます。まろやかな風味が生まれます。
そして、できあがり!
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製造元 |
奄美農業共同組合
鹿児島県大島郡瀬戸内町古仁屋大湊5 |
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「きび酢」づくりは、大昔、中国から酢造りの方法が伝えられたことが始まりと言われています。長い歴史を持つ黒砂糖作りとともに、手作り醸造のさとうきび酢は生活に欠かせない知恵として、長い間大切に受け継がれているのです。
次のページでは、
きび酢にはどのような成分が含まれているのか
見ていくことにしましょう。
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